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石炭ガス化技術

公開日:2016.01.21
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石炭ガス化技術
火力発電はこれまで石炭で行うことが一般的で、環境への負荷が問題視されてきました。 かつて二度の石油ショックに見舞われた日本は、従来よりも高効率な石炭火力発電システムである「IGCC」を研究開発に乗り出しました。 日本が採用した「空気吹き」と呼ばれる方式は、当初は不可能だといわれるほどの難しい技術でしたが成功させ、ついに2013年から商用運転を開始しました。

石炭を綺麗に使う石炭ガス化技術

比較的安価で手に入ることから古くより燃料として使用されており、多くの発電所などで使われている石炭ですが、石炭を使った火力発電には環境に対して有害なガスが大量に発生するとして問題視もされています。

 

そこから技術改良や発電方法の見直しなども行って、ガスを排出する前に回収し処理する方法も考えられましたが、天然ガスを使用したタービンでの発電と比べると、二酸化炭素の排出が多くなることを避けられませんでした。しかし近年になってそんな石炭の欠点と言える部分を克服し、その上で発電効率も大幅に向上させた技術が開発されました。それが石炭ガス化技術です。

30年の開発期間を経てついに稼働

1970年に二度の石油ショックに見舞われた日本は、そこでエネルギーに関するセキュリティがいかに重要かということを認識し、石油に依存した現状から脱却するためにエネルギー資源を多様化する取り組みが国を挙げて行われました。その中でも資源の偏在性が少ない上に最も採取量の豊富な石炭が再び注目を集めることになりました。

 

しかし石炭には環境に対する負荷が大き過ぎるという欠点があったため、その欠点を克服し尚且つ従来のものよりも高効率な石炭火力発電システムとして「IGCC」と呼ばれる、石炭ガス化技術に関する研究開発に着手したのです。

 

このIGCCを実用化するため、大手電力会社や国の協力によって実証運転などを行い、近年それがついに成功したことによって2013年から商用運転を開始しています。

世界初の空気吹きによるIGCCの開発

IGCCを実用化するために取り組みを進めていたのは日本だけでなく、むしろその研究開発に関しては当時欧米諸国の方が先を進んでいました。1990年代には米国を始めスペインやオランダでは既に実証運転が始まっていた程です。

 

当時のIGCCにおけるガス化炉方式といえば酸素吹きだという考えが主流でしたが、日本が開発した空気吹きと呼ばれる方式でした。酸素吹きの方が容易に石炭をガス化することができますが、必要な設備や動力が巨大なことから発電効率の向上はあまり望めないという問題があります。

 

その点から日本では、技術的に難しくても世界最高の効率を出すために空気吹きを敢えて採用したのです。国際学会でこのことを発表した際には「不可能だ」という反論を何度も受けましたが、それが逆に原動力となって結果的に空気吹きでのIGCC開発に成功することができました。

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